公認心理師への道

現任者講習会と公認心理師試験のレポート

ICD-11公表!ICD-10からの変更点や特徴まとめ。

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先週、6月18日、約30年ぶりに、国際疾病分類(ICD-11)が改訂されたよね。

www.mhlw.go.jp

2019年以降、 加盟国は順次導入予定。

ICD-11の特徴

厚労省によると、ICD-11の目的は以下の通り。

  • 医学・公衆衛生の新しい知見を導入してのアップデート 
  • 疾病・死亡統計、プライマリケア、臨床、研究 等、様々な場面での使用を想定
  • 日中韓(漢方医学)の伝統医学を新たに導入
  • 病名コードだけでなく、内容(疾患概念)を含めた情報体系へ
  • 電子環境での活用を前提としたシステムツールの提供 

まだ訳されてないけども⇒ ICD-11

ICD-11 の変更点

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青文字のところが、新しく追加された章。

この発表を色々な気持ちで眺めた人がいると思う。

ICD-11 の変更の目玉① 性の保健関連の章が設けられた。

第17章。

性に関する状態像が、一つの章に独立、分類されることになり、精神障害のくくりから外れたよね。

とりわけ、性別不一致が精神障害及び行動の障害と分けられたのは、大きな動きだったと思う。

性別に関する違和感や自分の性別と社会との関係で悩んでいた人たちの苦悩が、精神疾患の一つとして、認知症や精神病、人格障害等と同列で語られるものではなく、また、同列で治療されるものでもない、って(とりあえずの形だけでも)なった。

 

17 Conditions related to sexual health
Description
Gender incongruence is characterized by a marked and persistent incongruence between an individual’s experienced gender and the assigned sex. Gender variant behaviour and preferences alone are not a basis for assigning the diagnoses in this group.

17章 性的健康に関する条件
説明
性別不一致は、その人が経験している性別と生れた時に決められた性別との間に顕著で永続的な不一致を特徴とする。 生れた時に決められた性別の人として一般的でないと考えられる性的な行動と嗜好のみは、このグループの診断を割り当てる根拠にはならない。(注:宮本の訳)

つまり、経験している性別と日本で言えば戸籍の性別とが違うことが性別不一致で、それ以上のものでもそれ以下のものでもない、ということ。

個人的に思うのは、それじゃあ、もう新しい診療科作って、それ用のトレーニングしたらいいんじゃないかなって、ねえ、医師会?

外・内性器&ジェンダー&性嗜好科、みたいな。

そこで、体のトラブル解決やSRSもできて、性別適合に向けた教育や、メンタルケアもできて、社会に受け入れられない性嗜好で悩んでる人やアディクションも診てもらえて、EDの治療とか、セックスレスの相談や治療、カウンセリングもできて…って書いてたら壮大になってこりゃ一つの診療科では無理だわってなってきたけど、宮本ら人間の生活に、性の問題は切っても切り離せないよね。

シャレオツな性総合病院ができて、みんなが明るく通院できるようになったらいいなあなんて思っちゃうけども。

困っている人が意外に多くて、困ってても個人や家族で抱え込んで、ほったらかしがちの困りごとやもんね。 

ICD-11 の変更の目玉② ゲーム症っていう病名ができた。

これは話題になってたけども。

Disorders due to substance use or addictive behaviours

Disorders due to substance use and addictive behaviours are mental and behavioural disorders that develop as a result of the use of predominantly psychoactive substances, including medications, or specific repetitive rewarding and reinforcing behaviours.

ICD-10では、依存って言ったら物質だよね、って感じだったけど、ICD-11では、依存する対象の仲間に行動をぶち込んだ。

この行動には、ギャンブル、ゲームが含まれてて、それぞれ、ギャンブル症、ゲーム症って日本語で言われる予定らしい。

ちなみに、ゲームが他の大事な活動より最優先されて、ゲームをすることで色んな不利益があったとしてもやめられず、日常生活に差し障ってくる感じが1年くらい続いたら、ゲーム症。

心理屋は、ゲームやギャンブルに限らず、食事、盗み、痴漢、嘘、セックス etc.不利益あってもやらずにはおれないって人と会ってみれば「あっ」つってわかるけども。

いや逆にね。

ゲームって依存タイプの人と、ひきこもりでめっちゃやってるけど、依存って感じじゃない人がいると宮本は思ってて、たぶん、脳のどっかの快感回路が違う感じもして、診断ってなっちゃうと、それもこれも一緒くたになっちゃう気がしてう~んってなった。

けども、公認心理師の趣旨からいうと、エビデンスないとセラピーって言っちゃダメでしょ、どっちもCBTっしょ~って感じになって、どっちの人かってことは治療的に関係ないなのかな。

ICD-11 の変更の目玉③ 東洋の伝統医学が追加!

東洋の伝統医学は、古くから有効な治療法として確立してるのは日本人ならちょっぴり知っている、たぶん、中国人や韓国人はもっと知っている。

ICD-11の第26章で、ついに東洋の伝統医学が仲間入り。

世界のスタンダードな医学として認められた感あるよね、なんかワクワクする。

 

国際伝統医学分類(International Classification of Traditional Medicine:ICTM)は 2009年から WHOのプロジェクトとして始まって、 日中韓の伝統医学の専門家を中心に開発されてきたらしい。

ICD-11 では、従来的な診断分類+伝統医学の疾病分類のダブルコーデングが可能になった。

これから、漢方や鍼灸がくるんじゃない?って予感。

ICD-11 の変更の目玉④ 補足コードで診断の詳細を追加できる。

第27章のVコードは、患者の機能的状態および障害を表し、介護のために役に立てることができる。

第28章のXコードは、診断の詳細(重症度、腫瘍病期、病歴、傷害、中毒など)を補足、追加するコードで、症状の確認になる。

より実用的になったかも?って前情報だけで、現場でドクターがどんな感じにしはるんか体感してみないとだけど、ずっと現場でモヤモヤしていたことが、ICD-11の発表でちょっとすっきりしたかも。

新病名案に関するパブリックコメント募集…らしい

日本精神神経学会で、 ICD-11の「第6章、精神・行動・神経発達の疾患」及び「第18章、性の健康に関する状態」の日本語病名・用語の草案を作ったらしいけど、ご意見ちょうだい~ってやってます。

www.jspn.or.jp

よかったら、言ってみるのはタダ!